ジョー・ヒタギの止リ木 | 「ものづくり」や「ものなおし」をするブログ

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スリムケースでハイスペックPCを自作する【パーツの選び方】

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この記事では、私が1年半ほど前に組み立てたスリムケースの自作PCをご紹介します。

スリムケースは自作PCの中では不人気ですよね。
「スペックが低い」・「拡張性がない」といった意見をよく見かけます。

しかし、世の中にはミドルタワーやハイタワーが必要な人ばかりではありません。スリムケースでも必要十分な性能は得られるのです。
実際、私はネットサーフィンや動画視聴はもちろんのこと、画像編集・動画編集・3DCAD・MMD・3Dゲームも触りますが、スペック不足を感じたことはありません。

そしてなにより、スリムケースはコンパクトで置き場所を選びません。

私はこの記事を通して、自作PCに挑戦する方にスリムケースをぜひ選択肢に入れてもらいたいのです。そのために、私が使用したパーツについて詳しくご説明しています。
また、「なぜそのパーツを選んだのか?」についてもできる限り詳細に記述していますので、自作初心者の方もパーツの選び方の参考にしていただけるのではないかと思います。

かなりボリュームのある記事になりましたが、よろしければ最後までお付き合いください。

スリムケースとは

自作PCで一般的なケースの大きさは、下のような「ミドルタワー」です。

上で示したミドルタワー( IN WIN IW-CF06B 303C-Black ) の寸法は幅47.99cm・奥行き21.49cm・高さ49.99cmとなっています。


一方、下のような「スリムケース」はミドルタワーよりも小さく、コンパクトです。

上の画像のスリムケース( IN WIN IW-CE685/300P )は、幅33.4cm・奥行き9.6cm・高さ40.4cmです。上のミドルタワー(幅47.99cm・奥行き21.49cm・高さ49.99cm)と比べて、特に幅と奥行きがかなり短いことが分かります。

スリムケースはコンパクトなのですが、自作PCではあまり人気がありません。その理由は大きく分けて2つあります。

1つ目の理由は、内部スペースに余裕がないことです。内部空間が狭いため、取り付けられるパーツの数・大きさが制限されます。「拡張性がない」と言われるゆえんです。

2つ目の理由は、熱がこもりやすいことです。内部空間の狭さゆえにパーツ同士やパーツとケースが密集しやすく、熱が逃げにくいのです。そして、これまた内部空間が狭いため、ファンをいくつも付けて強制的に排熱することもできません。
そのため、ミドルタワー以上のケースと比べてハイスペックな(=発熱量が大きい)パーツを組み込みにくいのです。

こうした理由から、よく「スリムケースは低スペック」と言われます。しかし、こうした意見は一面的なものにすぎません。
たしかに、「ミドルタワーのハイエンド機」や「フルタワーのハイエンド機」のほうが「スリムケースのハイエンド機」よりもハイスペックでしょう。しかし、「フルタワーのハイエンド機」レベルのスペックを必要とする人が果たして何人いるのでしょうか。

日常的に膨大な演算をすることがないのなら、スリムケースでも十分使えます。実際、私はスリムケースでネットサーフィンや動画視聴、画像編集・動画編集・3DCAD・3Dゲーム・MMDなどをやっていますが、スペック不足を感じたことはありません。

スリムケースにはメリットもあります。
まず第一に、コンパクトであるために置き場所に困りません。その名の通りスリムで机にも置きやすいですし、横置きならラックにも収めやすいです。床に置かなくてすむということは、ほこりを吸い込みにくいという利点もあります。あと、引っ越しの時にも運びやすいです。
ミドルケースは意外と場所を取りますし、フルタワーはかなり邪魔です。

また、消費電力が少ないのも魅力です。スペースや放熱面での制約から、スリムケースに組み込めるパーツはもともと電力消費が抑えられているものが多いです。そのため、電気代やブレーカーの心配をあまりしなくて済みます。

以上のように、スリムケースには独特のメリットがあります。PCの自作に挑戦する方はぜひとも選択肢に加えてみてください。

改修前のPCをご紹介

本題に入る前に、私が以前に使っていたPC をご紹介します。

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上のPCは10年以上使っていたものですが、いくつか不満な点がありました。

まず、動作が重いことです。CPUが昔(2008年)のIntel Core 2 Duo E8400なので仕方ないのですが、何をするにしても待たされます。ハードディスクがSATA2なのも遅さに拍車をかけています。
ソフト面での延命措置を色々としてきたのですが、さすがに限界でした。

2つ目は拡張性が低いことです。メモリスロットは2つしかなく、USBポートの数も多くはありません。

改修のコンセプト

以前のPCの問題点を踏まえ、今回の改修のコンセプトを次の2つに設定しました。

  • 動作を軽くする
  • 拡張性を確保する

1つ目の「動作を軽くする」を達成するため、システムドライブはSSDに決めました。
また、CPUは必要十分な性能を持つものを選び、今後10年は使えることを目指しました。

2つ目の「拡張性を確保する」を達成するため、各種スロットを多数搭載したマザーボードを選定しました。これにより、将来のアップグレードに備えます。

PCケースについては、見た目を気に入っているうえにどこも壊れていなかったので、そのまま流用することにしました。つまり、PCの外側はそのままで中身だけをそっくり入れ替えたのです。

使用したパーツ

下の写真が改修後の姿です。

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写真では見えませんが、グラフィックボードの下には無線LANカードが、光学ドライブの下にはUSBフロントパネルがあります。

それでは、各パーツの詳細と選んだ理由をご説明します。

CPU

まず初めに選ぶべきはCPUです。なぜなら、マザーボードは特定のCPUにしか対応していないため、CPUを選ばないとマザーボードも決められないからです。
もちろん、CPUはPCの性能を決める最も重要な要素という理由もあります。

現在、CPUのメーカーはIntelとAMDの2つ。どちらでも性能はあまり変わりませんが、私は早い段階からIntelと決めていました。その理由は、ソフトウェアによってはAMDと相性が悪いものがあるからです(特にフリーソフト)。インテルは昔からメジャーなメーカーのため、そうした心配はほとんどありません。

メーカーが決まったら、次に世代を選びます。
制作時点での最新世代は9でした。しかし、第9世代は最新のため値段が高く、第8世代と比べてそれほど劇的な進化はなさそう。というわけで、第8世代に決めました。

最後にモデルを選びます。
インテルのCPUにはi5とi7がありますが、i7のほうが性能は上です。第八世代を例に挙げると、i5は最大でも6コア・6スレッドであるのに対し、i7は最大6コア・12スレッドです。
簡単に言えば、どちらも6個の頭脳(コア)で構成されている点は同じ。しかし、i5は1つの頭脳が1つの作業しかできないのに対し、i7は1つの頭脳で2つの作業を同時にこなせるため、i7のほうが高性能なのです。

ただ、第8世代のi5なら必要十分な性能を持っていそうでした。前述の通り、実際に画像編集・動画編集・3DCADなどを使いましたが、特に困ったことはありません(ただし、ゲームなどを快適にプレイしたいならグラフィックボードが必要になる場合があります。これはi7でも同じです。)
VRにも対応しています。

そんなこんなで最終的に選んだのは Core i5-8600K 。「K」がついたモデルはオーバークロック*1が可能なため、スペック不足を感じたら処理能力を引き上げられます。なお、1年半ほど使っていますが、オーバークロックが必要な場面はまだありません。

ご参考までに、 8600K と無印の 8600 のスペックを載せておきます(表はスクロールできます)。 8600K のほうが通常時のクロック周波数が高いです。

製品名 コア数 スレッド数 ベース周波数(GHz) ターボ・ブーストでの最大周波数(GHz)
Core i5-8600K 6 6 3.60 4.30
Core i5-8600 6 6 3.10 4.30

出典: 製品仕様 第 8 世代インテル® Core™ i5 プロセッサー
※ターボ・ブーストとはCPUの処理能力を一時的に上げるIntel独自の技術。オーバークロックとは別物で、必要な場面で自動的に作動する。

ちなみに、「K」以外のアルファベットが末尾についているモデルは無印よりも性能が低いので注意。

次にご紹介するマザーボードはインテルの第9世代にも対応しているため、5~10年後にスペック不足を感じたら第9世代にアップグレードしても良いかもしれません。

マザーボード

スリムケースに組み込むなら、マザーボードはMicro ATX規格でなければなりません。
そのうえで、コストパフォーマンスと拡張性(=付け足せるパーツの数)に優れた ASRock H370M Pro4 を選びました。

主な仕様は下表のとおり(表はスクロールできます)。

装備 仕様や数など
CPU インテル 第8~9世代
メモリ DDR4-2666 4個
ストレージ SATA3 6.0 Gb/s 6個・M.2ソケット (Key M) 2個
PCI Express 3.0 x16 スロット 2個
有線LAN ギガビット LAN 10/100/1000 Mb/s
Wi-Fi・Bluetooth(拡張) M.2 ソケット (Key E)
モニタ出力 HDMI・DVI-D・D-Sub 各1個
USBポート(背面) USB2.0 2個・USB3.1 Gen2 Type-A 1個・USB3.1 Gen2 Type-C 1個・USB3.1 Gen1 1個
USBポート(拡張) USB2.0 2個・USB3.1 Gen1 2個

※M.2ソケット (Key M)とは、M.2 SSDというカード型の記憶装置を取り付けるためのスロットです。読み書き速度が異次元。
※PCI Express 3.0 x16とは、主にグラフィックボードを取り付けるためのスロットです。

他にもPCI Express 3.0 x1 スロット・ PS/2 ポート・オーディオジャックなど、必要なものは全てそろっています。むしろ多すぎるくらいです。詳細を知りたい方は 公式サイト をご覧ください。

このマザーボードはとにかく拡張性が高いです。モニタ出力端子は3種類、SATA3は6スロット、USBも背面だけで5個あります。メモリスロットは4つ備えており、DDR4-2666規格なので速さも十分。よくぞこれだけ狭い中にパーツを詰め込んだものだと感心させられます。

下の写真は背面ポートの様子。2本の棒は無線LAN用アンテナ(別売)です。

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特にUSBポートの数が圧倒的で、足りなくなることはまずないでしょう。

公式ホームページからはこだわりと品質の良さがうかがい知れ、見ていて楽しいです。
オーディオの音質にもこだわっているようで、アニメをよく見る私としてはその点も高評価でした。
あと、基盤が黒くてかっこいいです。

CPUはIntel第9世代にも対応しているため、将来的なアップデートも可能です。
これで価格が1万円を切るのだから驚きです。

また、パッケージ(下の写真)の右下に書かれている通り、日本語のマニュアルが付属します。

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マニュアルの日本語の文章はきちんとしており、図が多いことも相まってとても分かりやすいです。外国の製品にありがちな、「こんなひどい日本語を読むなら英語版を読んだほうがまし」という代物ではないのでご安心ください。

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UEFIの画面はマウスでも操作可能で、直感的に使えます。昔のBIOSと比べると隔世の感があります。

唯一の欠点はスリープ時に電源ランプが点滅することです。UEFIの設定で無効化することはできません。

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上の写真は、青が電源ランプで赤がアクセスランプです。休止状態かシャットダウンにすればどちらも消えます。
「たかがランプの点滅でしょ」と思われるかもしれませんが、部屋を暗くして寝ているとかなり気になります。そのため、ランプに被せるカバーを厚紙で作りました(写真では下のほうに少し写っています)。

CPUクーラー(ファン)

CPUクーラーを選ぶ際、まずは対応ソケット対応TDPを確認します。

ソケットとはCPUが乗っかる土台のことです。そのため、使用するCPUによって使えるクーラーが変わるということです。
なお、 Core i5-8600K のソケットは「LGA1151」です。

TDPとはCPUの平均消費電力のことです。消費電力が高いほど発熱量が多いため、「クーラーの対応TDPが大きい=冷却性が高い」を意味します。
前述の Core i5-8600K のTDPは95Wです。ただ、だからといって対応TDPが100Wのクーラーでは不安があるため、冷却能力には余裕を持たせたほうが良いでしょう。クーラーの性能に余裕があれば、将来的なCPUのアップグレードにも備えられます。

また、静粛性も大事な要素です。CPUクーラーは常に回転しているため、風切り音が大きいとストレスになります。

スリムケースの場合、高さもよく確認してください。ケースカバーとクーラーの間にある程度の隙間がないと冷やせませんし、カバーがクーラーに干渉するとそもそも組み立てられません。 基本的に、ヒートシンク+ファンの高さが70㎜未満なら大丈夫だと思いますが、実際にお使いのケースのスペースを測ってみることを強くおすすめします。

以上を踏まえ、私は Thermalright AXP-100H Muscle を選びました。

この Thermalright AXP-100H Muscle は大口径のファンと大型のヒートシンクを搭載しており、冷却性能が高いです。
対応TDPは180Wもあるため、高負荷時でも安心して使えます。

また、このファンは静粛性にも優れています。高負荷時でもかなり静かなため、PCの電源が入っているのか分からないほどです。

これほどの性能にもかかわらず高さは65㎜に抑えられており、スリムケースでも十分使えます。

メモリ

メモリとは、CPUが使うデータを一時的に格納するためのパーツです。
メモリはよく机の広さに例えられます。すなわち、メモリが大きい=机が広い と一度に出しておけるデータの量も多くなり、処理速度が速くなります。

メモリは8GBもあれば困ることはないでしょう。逆に8GBより減らすのは絶対におすすめしません
ちなみに、同じ8GBなら8GB×1より4GB×2のほうが、データを二手に分けられるので処理速度が上です。

私が選んだメモリは CORSAIR CMK8GX4M2A2666C16 4GB×2枚キット です。選定理由は次の4点。

  • アルマイト製のヒートシンク搭載で放熱性が高い(=性能を発揮しやすい)
  • 高さが33.5mmに抑えられているためスリムケースでも安心
  • 有名なCORSAIR製
  • DDR4-2666規格である(マザーボードが対応している中で最速の規格)

DDR4-2666とは、DDR4世代でメモリクロックが2666MHzであるということです。2020年4月25日現在はDDR4が最新世代ですが、同じ世代でもデータ転送速度の違いでいくつか種類があります。 下の表に、DDR4のうち代表的な規格のスペックを載せておきます(表はスクロールできます)。

規格 メモリクロック(MHz) 帯域幅(MB/s)
DDR4-2133 2133 17000
DDR4-2400 2400 19200
DDR4-2666 2666 21300
DDR4-3200 3200 25600

メモリクロック・帯域幅は高いほど高性能ではありますが、同じ世代なら体感できるような差はないと思います。そのため、高価なメモリを買うよりもCPUにお金をかけたほうが良いでしょう。

では、私がなぜDDR4-2400を選ばなかったかと言いますと、購入当時は同じCORSAIR製ならDDR4-2666のほうが安かったからです。
おそらく、 CMK8GX4M2A2666C16 は比較的新しい製品だったため、公式に対応を宣言しているマザーボードが少なかったためだと思います。実際、私が購入した当時は ASRock H370M Pro4 の対応表に CMK8GX4M2A2666C16 は載っていませんでした。しかし、問題なく使えています。

電源ユニット

スリムケースに使うならTFX規格のものが必要となります。
そして、重要なのは電源容量省電力性能です。

まず電源容量ですが、スリムケースであれば総出力300Wもあれば十分でしょう。それだけあればグラフィックボードも載せられます。
どのみち300Wより大きなTFX電源はまず存在しないため、パーツの消費電力の合計値が電源容量を超えていないかあらかじめ確認してください。

電源容量については、総出力以外にも各系統ごとの定格出力も定められています。下の写真のような表を使ってご確認ください。

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上の写真の例では12V+系統が2つありますが、それぞれの最大電流は18A(最大電力:12V×18A=216W)なのに対し、2つ合わせた最大電流は23A(最大電力:12V×23A=276W)しかありません。このように、総出力だけでなく各系統ごとの定格出力も必ず確認してください
なお、ピーク電流とは「電源を入れた瞬間の一瞬だけなら耐えられる」電流値です。電源を入れた直後は、通常よりもたくさんの電気が流れるため、それを見越した値が別個に設定されています。

マザーボード・CPPU・ストレージ・グラフィックボードなどの主要パーツは、全て12V+から電力供給を受けるため、12V+系統の出力が定格を超えないように特にご注意ください。
もっともスリムケースの場合、「グラフィックボードを3、4枚載せる」などの無茶をしなければ大丈夫だと思います。

次に省電力性能ですが、これは「80PLUS」の認証を確認すれば分かります。STANDARD、BRONZE、SILVER、GOLD、PLATINUM、TITANIUMの6段階に分かれており、後のものほど変換効率が良い(=省エネ&発熱が少ない)です。

長々と述べましたが、現在のところTFX規格の電源ユニットは 玄人志向のKRPW-TX300W/90+ 一択だと思います。

この電源は80PLUS GOLDの認証を受けており、省エネ性能に優れています。変換効率が高ければ発熱量も少なくなるため、スリムケースに最適です。また、ファンをあまり回す必要がなくなるため、静粛性にもつながります。
この電源は温度によってファンの回転数が変わり、温度が低ければファンが完全に止まります。そのため、かなり静粛性に優れています

必要なコネクタも一通りそろっており、スリムケースであれば十分でしょう。

なお、PCケースの中には電源がセットになっていることも多いです。そうした場合はひとまず付属の電源を使用し、何か不満があれば改めて購入しても良いと思います。
ただし、繰り返しになりますが電源容量の不足だけにはご注意ください。最悪マザーボードごと故障します。

メインストレージ

ストレージには、大きく分けてハードディスクドライブ(HDD)とソリッドステートドライブ(SSD)の2種類があります。
HDDは、高速回転する円盤に磁気を使ってデータを記録します。SSDはUSBメモリを大きくしたような装置で、半導体に電子を保持させることでデータを記録します。

メインストレージ(正確にはシステムドライブ)として圧倒的におすすめなのはSSDです。HDDと異なり物理的な動作がないため、データの読み書きがかなり高速になります。今までHDDを使用していたのなら、あまりの速さにきっと感動することでしょう。
PCの立ち上がりも非常に早く、私のPCは電源投入から23秒ほどで完全に立ち上がります。

他にも、HDDと比べて

  • 省電力
  • 発熱が少ない
  • 衝撃に強い
  • 軽い

などのメリットがあります。

しかし、デメリットが主に2つあります。
1つ目は、同じ容量のHDDより高価である点。ただ、以前と比べてSSDの価格はかなり下がっており、500GBで1万円を切るものもあります。

2つ目は書き込み寿命がある点。USBメモリと同様、書き込める(変更できる)データの総量に限りがあります。しかし、現在では書き込み寿命が何百TBという製品も珍しくなく、あまり気にする必要はなくなってきました。

また、「SSDはHDDより不安定で、データが飛びやすい」という意見もありますが、最近の製品は信頼性も上がっているのでそれほど神経質にならなくてもいいと思います。
データが飛ぶことはHDDでも起こりますから、大事なデータはバックアップしておくべきです。ただし、SSDはデータの長期保存には向かないため、バックアップ用にはHDDをおすすめします。

以上を踏まえて、私は Samsung 860 EVO 500GB を選びました。
このSSDは500GBが8000円台と安価なうえ、信頼性が高いです。
そのうえ書き込み寿命が300TBあり、他の製品よりかなり長いことが購入の決め手となりました。

参考までに、およそ一年半使用した現時点での総書き込み量は4254GB。
1月当たりにすると約236GBのため、300TBに達するのは105年後になります。

私が購入したのは 500GBモデル ですが、1年半たった今では残り100GBほどになってしまいました。予算に余裕があれば 1TBモデル をおすすめします。

ちなみに、私はSSDを結束バンドとゴム板で固定しています(下の写真の赤丸)。

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SSDは2.5インチですが、PCケースには3.5インチベイしかなく、そのうえ変換マウンタを買い忘れたからです。
私は面倒で放置していますが、必要であればきちんとした変換マウンタを使ってください。Amazonには 860 EVOと変換マウントのセット もあります。

補助ストレージ

補助ストレージとして、1TBのHDD(SATA3、3.5インチ)を使用しています。以前は外付けハードディスクとして使っていたものを流用しました。
ちなみに日立製です。残念ながら今では売られていないため、上の画像は 東芝製 (5000円台・2年保証)のものです。この製品については、実際に使ったわけではないので特に申し上げられることもありません。

私の補助ストレージの主な用途は、メインストレージのバックアップです。「Bun Backup」というフリーソフトを使い、疑似的なミラーリングとファイル履歴を再現しています。
Windows10には標準で「ファイル履歴」というファイルの世代管理システムが搭載されていますが、私の環境では不具合が頻発したのでBun Backupを使うことにしました。ダウンロードページはこちら

また、動画などの大きなファイルを格納するのにも使っています。

グラフィックボード

グラフィックボード(グラボ、グラフィックカードとも)とは、画像や動画に関する処理を専門に引き受けるCPUのようなものです。そのため、重たい画像処理をしないのであれば不要なパーツとなります。
私も当初は載せないつもりでした。しかし、CPUだけでは3DゲームやMMDがまともに動かなかったため、後付けしました。

スリムケースで使用する場合には、「ロープロファイル対応補助電源不要」のパーツを選んでください。

ロープロファイル対応とは、簡単に言えば「コンパクト(高さが低い)」ということです。
スリムケースはスペースに余裕がないため、ロープロファイル対応のグラボでないと取り付けられません。

補助電源不要とは、「マザーボードに供給されている電力だけで動作する」という意味です。逆に補助電源が必要なグラフィックボードの場合、グラボだけに電力供給する系統が必要になります。
前述の通り、スリムケースに搭載できる電源ユニットはそれほど出力が大きくありません。また、スリムケースは排熱がしにくいため、消費電力が大きい(=発熱量が多い)パーツは使えません。そのため、「補助電源不要」の省エネなグラボが必要になるわけです。
とはいうものの、「ロープロファイル対応」のグラボは基本的に「補助電源不要」です。逆に、「補助電源不要」だからといって「ロープロファイル対応」とは限らないのでご注意ください。

さて、私が選んだグラフィックボードは ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK です。決め手は性能でした。

この ASUS 製グラボ は、ロープロファイルのなかでは最新世代の「NVIDIA GeForce GTX 1650」を搭載しています。TDPが75Wの省エネ設計のため、補助電源不要で使えます。
しかし処理能力は非常に高く、限定的ながらVRゲームにも対応可能です。3Dゲームも実用レベルで動かせますし、MMDの重たいエフェクトの多重掛けも難なく処理します。
さらに、オーバークロックにも対応。

特にに注目すべきなのは「ファン」です。
このASUSには2基の冷却ファンが搭載されているのですが、IP5X相当の「防塵ファン」となっています。PCパーツは何かとほこりに弱いため、防塵ファンはかなり魅力的です。

また、ファンの静粛性も優れています
負荷状態によって回転数が自動的に変わり、低負荷時にはほとんど音がしません。高負荷時にはさすがに音が大きくなりますが、許容範囲といえるレベルです。ヘッドホンをすれば全く気にならなくなります。

下の記事では GTX1650-O4G-LP-BRK のレビューをしています。よろしければご覧ください。
【ロープロファイル対応グラボ・】ASUS GTX1650-O4G-LP-BRKの取付けとレビュー
ロープロファイル対応グラボ ASUS GTX1650-O4G-LP-BRKのVRベンチマーク

無線LANカード

無線LANカードとは、マザーボードに取り付けることでWi-Fiを使用できるようになるパーツです。
さらにBluetoothが使えるようになる製品もあります。有線LANを使う人でも、Bluetooth目当てで取り付けるのもありです。

私が購入したのは Intel (インテル) Wirelss-AC9260NGW (ロッドアンテナ付き) です。

2.4GHzと5GHzの両方に対応しており、理論上の最大速度は1.73 Gbpsです。
私は今までUSBに挿すタイプのWi-Fiレシーバーを使っていたのですが、この時の通信速度が50~60Mbpsでした。しかし、 この無線LANカード を搭載しただけで170Mpsを超えるまでになり、通信速度が劇的に改善されました。

さらに、 Wirelss-AC9260NGW にはBluetooth5.0を搭載しています。これはBluetooth4.2の2倍の通信速度を持つ新しい規格です。

PCでBluetoothが使えるとかなり快適になります。 特に便利なのが、ワイヤレスヘッドホン(またはイヤホン)を使えるようになる点。ワイヤレスなら腕にケーブルが絡まることもないですし、別の部屋に行くのにいちいちヘッドホンを外さなくて済むようになります。これが想像以上に快適です。
もちろん、ワイヤレスキーボードやマウスも使えます。

ただし、注意点が3つあります。

まず、CPUとの対応に注意してください。ご紹介した Wirelss-AC9260NGW はIntel製CPU用のため、AMD製CPUとは組み合わせられません。

次に、マザーボードに無線LANカード用のスロットがあるかを確認してください。
私が使っている ASRock H370M Pro4 のようにKey EのM.2 ソケットがあれば、M.2に対応した無線LANカードが取り付け可能です。

最後に、無線LANカードを使うにはアンテナとアンテナケーブルが別途必要です。
ただしアンテナにもいくつか規格があるため、不安な場合は 私が購入したセット のように、無線LANカード・アンテナ・ケーブルがセットになった製品をおすすめします。

もちろん、 無線LANカード単体 でも売られています(下に示したものもカード単体です)。

光学ドライブ

CD・DVD・Blu-rayを読み書きするには光学ドライブが必要です。
現在では搭載していないPCも多く、その場合は外付けドライブで対応することになります。しかし、せっかくの自作PCならぜひ組み込んでおきたいところです。

私が選んだ光学ドライブは Pioneer BDR-209BK です。が、現在では新しいモデル( BDR-212BK )が出回っているため、そちらのほうがおすすめです。

ご紹介した2つの製品はどちらもバルク品となっています。
バルク品とは、パソコンメーカーが自社のPCに組み込むために買い付けたもののうち、余剰分を放出したものです。一般的な製品と性能に違いはありませんがが、メーカーが大量に仕入れたものであることと、パッケージが簡略化されていることで安くなっています。

BDR-212BK は、CD・DVD・Blu-ray( ベーシックモデル は2層まで、 BDXLメディア対応モデル は4層までに対応)の読み書きに対応しています。
さらに、 ソフト付モデル ではPowerDVDとPower2Go8が付属。PowerDVDで再生するとフリーソフトよりも画質が良くなりました。

安定のパイオニア製なのに1万円程度という安さも魅力です。

ただし、注意点が2つあります。
まず、 Pioneer BDR-209BKBDR-212BK はどちらもスリムタイプではないため、PCケースに5.25インチのオープンベイがないと取り付けられません。
最近のスリムケースには光学ドライブの取付を想定していなかったり、スリムタイプのものしか取り付けられないものがあるのでご注意ください。

あと、私が購入した個体だけの問題かもしれませんが、SATAの電源端子がショートするというトラブルがありました。電源ケーブルが斜めにささっていたことが原因と思われますが、SATAではそうしたトラブルが起きやすいようです。
心配なら、 変換名人 変換ケーブル IDEP-SPR のようなロック付きの電源ケーブルをおすすめします。こちらは現在ではあまり出番のないペリフェラル4ピンを、ロック付きのSATAに変換するものです。ペリフェラル4ピンであれば電力容量は問題ありませんし、もともとショートしにくい構造なので安心です。

私の場合は光学ドライブ側のSATA端子が融けてしまったため、ペリフェラル4ピンコネクタをはんだで直付けして対処しました。詳しい修理内容は下の記事で紹介しています。
SATA電源から出火した光学ドライブの修理

※いくつかバリエーションがあるため、購入時にはよくご確認ください。

SATA データケーブル

ご紹介したマザーボード( ASRock H370M Pro4 )にはSATA データケーブルが2つ付属しています。
しかし、ケーブルはSSD・HDD・光学ドライブのそれぞれで使うため、組み込むパーツの数によっては買い足す必要があります。

私は下の SATA3.0 6Gbps対応 シリアルATAケーブル を購入しました。長さは50㎝です。
数百円とかなり安いですが、問題なく使えています。

USBフロントパネル

上の画像は アイネックス 3.5インチベイ USB3.0/2.0フロントパネル PF-004A で、PCケースの3.5インチ オープンベイに、USB 3.0とUSB2.0を2つずつ増設する製品です。青のコネクタがUSB3.0、白がUSB2.0です。

この製品を組み込むことで、PC前面にUSBポートを4つ追加できます。これにより、 ASRock H370M Pro4 の拡張性の高さを生かせます。背面のポートとあわせれば、USBが足りなくなることはありません。2000円程度と安いので、買って損はないです。

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ただし、PCケースによっては複数のUSBポートを前面に標準で備えているものもあります。
その場合は フロントパネル でUSBを増設するより、別の製品を使ってカードリーダーやオーディオ端子を付け足すのも良いと思います。

OS(Windows10)

自作PCの場合、自前でOSを用意する必要があります。前のPCから引き継ぐ人は不要です。
もしもWindows7などからアップグレードしたWindows10を引き継ぐ場合、旧バージョンのライセンスキーを要求されることがあるのでご注意ください。

Windows10 には32bitと64bitがありますが、今では32bitを使う意味はほとんどありません。32bitではメモリが4GBまでしか認識されませんし、64bitでしか動かないソフトも多くなってきたからです。
そのため、特段の事情がなければ64bitをお使いください

スピーカー

スピーカーとは、PCの電源を入れた後、マザーボードが正常に起動した場合に音を鳴らす装置です。
無くてもパソコンは動きますが、あるとトラブルの原因究明に役立ちます

例えば、電源を投入したのにパソコンが正常に起動しない場合を考えてみます。この時にもしスピーカーが正常に鳴っているなら、少なくともマザーボードやパーツの問題ではないと判断できます。

スピーカーはケースに付属していることもあるのでご確認ください。

おわりに

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10年ぶりにパソコンの中身を入れ替えましたが、私にとっては充分以上の性能に仕上がり満足しています。
自作PCはそれなりに手間がかかりますが、自分にとって必要なパーツを取捨選択できるのが良いですね。あと、自然とパソコンの構造にも詳しくなれます。内部パーツだけを入れ替えれば、PCを新調したことが家族にばれません。つまり、浪費を見咎められることも…

スリムケースであっても、きちんとパーツを選べば必要な性能を得られます。
この記事をきっかけに、スリムケースを使った自作PCに挑戦していただけたら嬉しいです。

おまけ:おすすめのスリムケース

今回の改修ではPCケースを新調しませんでしたが、実は最後の最後まで買おうか悩んでいたケースがあります。
それが上の画像の IN WIN IW-CE685/300P です。結局、今まで使っていたPCケースがどこも壊れていなかったため、購入は見送りました。

このケースには2つの特徴があります。
1つ目はツールフリー(工具不要)であることです。マザーボードの取付以外ではねじを使わないため、組み立て・分解が工具なしで簡単にできます。

2つ目はエアフローです。前面に吸気ファンを備えており、背面まで一直線に空気が抜けるようになっています。
そのため、スリムケースの中ではかなり排熱性能が高いです。

また、金属製のため耐久性と放熱性に優れています。
さらに、300Wの80PLUS PLATINUM電源ユニットとスピーカーが付属。80PLUS PLATINUM認証は、上で紹介した 玄人志向 KRPW-TX300W/90+ の80PLUS GOLDよりもさらに高い変換効率を持つことを意味します。

シャドーベイは3.5インチと2.5インチを、オープンベイは5.25インチと3.5インチを搭載しています。スリムケースとしては充分なキャパシティでしょう。

ただし、3.5インチ オープンベイには吸気ファンが取り付けられているため、スペースに制約があります。が、前面にはUSB2.0×2・USB3.0×2・オーディオ端子を備えているため、3.5インチ オープンベイの必要性は低いでしょう。

IW-CE685/300P の構造については、下のページで詳しく紹介されています。小さなスペースにパーツがピタリと収まっていく様子は見ていて楽しいです。
 参考:これで全てが分かる。In Win「IW-CE685/300P」徹底検証 - エルミタージュ秋葉原

価格が2万円台と安くはないですが、高性能電源がセットであることを考えればお買い得ではないでしょうか。なお、 安価な80PLUS BRONZE電源を搭載したモデル電源が付属しないモデル もあり、 80PLUS PLATINUM電源搭載モデル と比べてかなり安く買えます。

▼80PLUS PLATINUM電源搭載モデル▼

▼80PLUS BRONZE電源搭載モデル▼

▼電源なしモデル▼

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*1:CPUを通常よりも高いクロック周波数で動作させること。故障のリスクがあり、メーカー保証の対象外となる。