ジョー・ヒタギの止リ木 | 「ものづくり」や「ものなおし」をするブログ

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ジョー・ヒタギ の 止リ木

おすすめ本のまとめ その2(2+2冊・2020年1月)

2020年1月に読んだ本の中で面白い・ためになったと思ったものを、ちょっとした感想とともにご紹介する。
小説については極力ネタバレに注意して書いたのでご安心いただきたい。

前回はこちら。

www.joe-hitagi.com

「大人」になるための教科書

よのなかルールブック・生き方ルールブック

大人になるための心得を50個紹介した本である。
絵本に近い形式であり、見開き1ページに1つの心得とイラスト、短い解説が書かれている。

ここでいう「大人」とは、「よのなかルールブック」では「メシが食える大人」、「生きかたルールブック」では「ヤワじゃない大人」のことである。ここから分かるように、この本は「良い大人になりましょう」といった道徳的なものではなく、もっと現実的・合理的な内容である。

2つの本はそれぞれ監修者が異なるが、目指すところはどちらも「楽に生きられる大人」だと思う(少し語弊があるかもしれないが)。

心得の中には

  • 足ることを知る
  • 努力を続ける

といったおなじみのものから、

  • 自分の気持ちにぴったりくる言葉を探す習慣をつける(言葉に厳しくなることは考え方を研ぎ澄ますことにつながるため)
  • 直感を磨く、信じる
  • 自分はどんな時にうれしくてどんな時にいやな気分になるのか、自分自身をよく知る

といった少し珍しいものもある。 珍しいとは言っても奇をてらったものではないため、素直に納得できることばかりだった。
特に、

人にきびしくするときは、一気におわらせる。人にやさしくするときは、じっくり時間をかける。

という言葉には思わずはっとさせられた。

子供向けとは言いつつも、大人が読んでも人生の指針が得られるような内容で、かなりためになる本だった。つい、子供のうちに読みたかったと思ってしまった。

おまけ1:お金の教科書なら「13歳からの金融入門」

大人になるとお金のことを考えなければならない。そこで、お金の教科書「13歳からの金融入門」の出番である。

この本は子供向けに金融や投資の仕組みを解説したものだが、やはり大人が読んでも非常にためになる。
たとえば「レバレッジ」や「オプション」といった金融用語が簡単な言葉で解説されており、初心者には大いに役立つであろう。

私はこれを一冊読んだ後、新聞やラジオの金融関連ニュースがかなり理解しやすくなった。

おまけ2:狐のお宿の物語「このはな綺譚」

この機会に私が大好きなマンガ「このはな綺譚」を紹介させてほしい。
あの世とこの世のはざまにある温泉旅館「此花亭」で働く狐の中居たちのお話である。

登場人物は基本的に狐をはじめとする妖怪変化で、その日常を描いた話が多い。退屈そうと思われるかもしれないが、生き方や他人との関わりについて考えさせられる・気づかされるような話が多く、なかなか示唆に富んでいる。
絵柄が嫌いでなければぜひ一度読んでいただきたい。


2017年にはアニメ化もされている。美しい映像と物語がよくマッチしており、原作とはまた違った良さがある。

公式サイト↓

konohanatei.jp

おまけ3:楽曲「贖罪」

もはや本ですらないが、よのなかルールブックを読んでいるときに傘村トータさんの「贖罪」を思い出したのでご紹介。

www.nicovideo.jp

生きていれば必ず出会うであろう様々な後悔が歌われており、身につまされるような思いが湧き上がる名曲である。

探偵も犯人も人工知能!?

探偵AIのリアル・ディープラーニング

タイトル通り、警察の捜査資料をディープラーニングすることで探偵としての能力を得た人工知能「相以(あい)」が事件を解決する推理小説である。

シリーズとして現在は2冊刊行されており、続編が下の「犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー」である。


「あい」という名前は言うまでもなく「AI」に由来するのだが、「相以」の漢字が当てられている理由は作中できちんと説明される。

相以には双子の人工知能「以相(いあ)」がいるのだが、こちらは「犯人」として事件を起こす力を持っている。以相は相以の対戦相手となることで相以の能力を高めるべく生み出されたのである*1
その以相がテロ組織に奪われてしまったところから物語が始まる。

この本はシリーズの1冊目であり、短編集のような体裁になっている。しかし、個々の事件には繋がりがあるため、長編小説としてもきちんと機能している。
なお、シリーズ2冊目では全体で1つの事件を追う形式に改められている。

AIらしく、手掛かりがすべて出そろった時点で即解決編となる。よくある探偵もののように変に勿体つけることはなく、とても小気味よい。

題名に「リアル・ディープラーニング」とあるように最初から完全無欠ではなく、現実世界に触れることでAIたちが成長していく物語でもある。
最初は機械らしく人間の心理を読み解くのが苦手だったり、非現実的で頓珍漢な推理をしたりするところがリアリティがあっておもしろい。

また、AI達のキャラクターがユーモラスで愛嬌があるため読んでいて楽しい。 相以が環境保護団体のメンバーに「なぜ牛や豚は殺しても良くて、イルカやクジラはだめなのか」と質問するシーンがあるのだが、得られた回答に対する応答が秀逸だった。

さらに、フレーム問題、シンボルグラウンディング問題といったAIにまつわる用語やAIが抱える弱点を学べるのもこの本の良いところである。私は「IA」(Intelligence Amplification、知能増幅)という概念を初めて知った。 最近「AI」という言葉をよく聞くが、それがどんなものかを大まかに理解する助けになるだろう。

主題から外れるが、私には人の言葉の裏を邪推する癖があり、褒められても「皮肉を言われているのでは」、「内心では嫌われているのでは」などと思ってしまう。
そんな私が感銘を受け、大切にしたいと思ったのが主人公のこの決意である。

見えない内心を分かった気になるのはやめて、見える言動を大切にしていこう。


総評としてはとても面白い小説だったと言いたい。

ただ1つ気になるのは、登場人物の名前に遊び心がありすぎることだ。例えば縦噛リオン(たてがみ りおん)といった具合である。読んでいるうちに慣れてくるが、最初のうちは気になってどうも話に入りきれなかった。

*1:この手のアプローチは現実のAI開発でも使われており、敵対的生成ネットワーク(GAN)と呼ばれる。